大山町を舞台に「地域に広がる支え合い健康づくり事業~秀峰大山に広がる医療・福祉とつながる地域コミュニティの輪~」と題して実施した取り組みについて、3月末で令和4年度モデル事業としての活動を終了しました。

 この取り組みでは、人や地域が「つながる」ことをキーワードに、

  1)「かかりつけ医」「おせっかい人」等の多様な関係者の連携

  2)地域コミュニティでの活動

  3)架け橋となる人材の育成

 の3つの柱で事業を進めてきました。

 

 

1)「かかりつけ医」「おせっかい人」等の多様な関係者の連携

「かかりつけ医」と「おせっかい人(リンクワーカー)」、行政や関係機関等の連携を促進し、住民の支援方法を検討するため、6月から「ウェルビーイング推進会議」を毎月開催しました。毎回各自が把握する事案について、アフターフォローも含めて意見交換を行いました。

また、暮らしの保健室や日々の診療等の中で、おせっかい人やかかりつけ医が住民の暮らしぶりや心身の健康状態などを把握する「社会的処方箋(ウェルビーイングスター)」を作成したり、ヒアリングのきっかけを作る「お元気シート」を用いて生活満足度をヒアリングし、必要な支援を実施しました。

 ※社会的処方箋作成件数・・・63

 

 

2)地域コミュニティ内での活動

   公民館やスーパーなど住民の暮らしの動線上で「暮らしの保健室」を開催し、老若男女問わず心と体の健康づくりの場を提供しました。おせっかい人を中心に、社会的処方箋等を活用しながら住民の困り事に寄り添う取組を展開しました。

 また、医療機関までの交通手段等の課題や孤立・孤独等の解消のため、「暮らしの保健室」と医師をオンラインでつないだ健康相談を実施しました。参加者からは「病院に行くかどうか迷っていたが相談できてよかった。」など満足するお声をいただきました。

 加えて、10月には「だいせん健康フェスタ」を大山町総合文化祭と同時開催し、多くの方にご来場いただきました。(だいせん健康フェスタの様子はこちら

 

「暮らしの保健室」の実績
  • 開催地域・・・町内ほぼ全域の公民館や地域コミュニティの拠点、スーパーなど
  • 開催回数・・・R5.3月末までで108回(月8~9回程度)、フレイル予防体操やスポーツなどの身体活動、血圧や骨密度などの健康測定等
  • 活動内容・・・おっせかい人による健康・福祉・子育て等に関する相談
  • 参加者数・・・延べ1,418人以上が参加
参加者からの声
  • 周りの方が子どもをかわいがってくれるので、子連れでも安心して参加することができ、ホッとする時間を過ごすことができる。
  • 普段は、なかなか人と話す機会が無いが、ここに来ると知っている顔もたくさんあって安心して過ごすことができ、気持ちが楽になる。
  • いろいろな人と出会う機会が増えて、とても感謝している。

 

3)架け橋となる人材の育成

 

 

 事業の充実・継続を図るため、地域で活動する「おせっかい人」を増やし、育成していくことを目的に、未経験の方を対象にしたおせっかい人育成基礎講座や、すでに活動している者のスキルアップを目的とした勉強会を開催しました。

 また、地域で活動する「おせっかい人」の取組を住民に広く周知して活動への関心を持ってもらい、地域に根差した活動となること及び「おせっかい人」活動を志す者を増やすことを目的にリーフレットを作成し、事業の拡大・充実を図りました。

 そういった取組の甲斐もあってか、現在では「暮らしの保健室」と各地域で従前から活動している地域活動団体がコラボして実施する事業も広がりを見せています。

 

育成講座の実績
  • 開催回数・・・基礎講座7回、勉強会2回
  • 受講者数・・・合計66人(20歳代~70歳代)※事業開始時の4人の含め70人が活動中➡地域自主組織で活動する方・集落支援員・民生児童委員・看護師OB、育休中の保育士・医大生・ケアマネ等の地域住民 等
  • 講座内容・・・地域共生社会・ウェルボーイングの概要、社会的処方箋の書き方、おせっかい人の役割等についての講義とグループワーク 等
受講者の声
  • ウェルビーイングの理念は地域活動に役立つ。
  • 孤独が心身に与える影響の大きさを感じた。
  • 地域で助け合えることが当たり前になれば良いと思う。

4)まとめ

 約一年間、診療所や役場等の関係機関の皆さま、一般社団法人コミュニティウェルビーイング研究所をはじめとしたおせっかい人の皆さま、そして、暮らしの保健室への参加やアンケートにご協力いただいた住民の皆さま、多くの方のお力添えにより、大変有意義で実践的な取り組みを実施することができました。

 モデル事業としての取り組みは終了することとなりますが、事業継続に向けた今後の連携体制などが大山町において検討されています。

 また、国保連合会としても、データ分析などを通じて今までとは違った形で支援を継続して参りますので、引き続きよろしくお願いします。

 最後になりましたが、本事業にご協力いただいたすべての方に感謝申し上げ、事業の報告といたします。

  ありがとうございました。