令和5年2月2日(木)に高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に係る研修会を開催し、今年度はオーラルフレイルを中心とした内容で実施しました。

前半の講演では、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施(以下、一体的実施)の効果的な推進について、大阪大学大学院医学研究科保健学専攻 教授 樺山 舞 氏にご講演いただきました。一体的実施の効果として、通いの場でのフレイル予防事業が身体機能改善や筋力アップ、メンタルヘルス改善に繋がった大阪府吹田市の取組事例についてデータ等で分かりやすく解説いただきました。また、オーラルフレイルが認知症発症や死亡率の上昇、要介護認定率上昇に大きく関係することについて説明いただき、実際に他県で作成しているオーラルフレイル予防のパンフレットを紹介いただくなど、今後の事業実施のヒントとなる取組内容を多数ご紹介いただきました。

後半の講演では、境港市と鳥取県地域歯科医師会連携室 室長 足立 融 氏からフレイル対策における多職種連携についてお話しいただきました。

境港市では、通いの場への参加をフレイルサポーターや歯科医師会などの声かけにより促しており、通いの場ではフレイルチェックシートに参加者自らチェックを入れ、自身の健康状態やフレイルリスクを把握してもらったうえで、その結果をもとにフレイルサポーターと保健師が住民への啓発に取り組んでいることについて説明いただきました。また、フレイルチェックの結果からリスクが高い方へは保健師、栄養士、歯科衛生士等の専門職が介入し多職種と連携を図りながら介護予防講座とフォローアップ講座による個別指導を実施しているほか、フレイルの心配がなく健康な方にはフレイルサポーターへの勧誘を行うなどフレイルサポーターの養成にも力を入れており、「市民による市民のためのフレイル予防」を推進していることについて、先進的な取り組みをご報告いただきました。

足立室長の講演では、フレイルに陥る負のサイクルについて説明いただき、オーラルフレイルを放置することで起こる様々なリスクについて、実際のオーラルフレイル患者さんの例を用いながら歯科医師の視点で解説いただきました。足立室長は、オーラルフレイルだけに力を入れるのではなく、身体的フレイル・社会的フレイル・精神心理的フレイルといったフレイル全体について、それぞれの専門職で連携し合いながら予防に繋げることが重要と話され、多職種による多面的な視点で対象者の状態を捉え支援していくことの重要性について理解を深める機会となりました。

参加者からは「保健と介護予防の一体的実施における概論から実践事例まで、具体的にイメージができとても学びがあった。」「他自治体の取組内容や、まだ取り組めていないオーラルフレイルについてのお話は大変参考になった。」等の声をいただきました。